二次元交通社

鉄道、アニメの舞台探訪、ライブの遠征…偏った旅

オタクが新婚旅行でフィンランド行く話〜鉄オタ、本領発揮〜

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さぁ、やってまいりました。

今夜の寝床、サンタクロースエクスプレス。フィンランドの夜行列車です。

鉄道網が発達しているヨーロッパでも夜行需要はかなり減少しており、それこそ国内完結の夜行列車というのも珍しいかと。

そして今夜はこのサンタクロースエクスプレスの寝台車、その2階に乗ります。

 

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編成は寝台車・座席車・カフェカーと雑多な車両が連なります。

日本でいうとブルートレインというよりかは夜行急行に近いかも。

あんまり気にしていなかったけれども手前の車両とか結構年季が入っていますね。

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IC266、タンペレ経由ヘルシンキ行きの48号車号車が今夜の寝床。

座席車と寝台車で十の位を分けているのか?やっぱり号車番号の付与の仕方が理解できない。

それでは乗り込みましょう。

 

車内に入って階段を登って2階へ。

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昼に乗った座席車でもそうでしたが、かなり高い車両限界のおかげで2階建てでも窮屈感は少なめ。

通路に補助椅子、というのが日本の寝台列車ぽいですね。

日本は個室寝台には通路の補助椅子ないですけど。

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そしてこちらが本日の寝床です。

寝台券自体は個室単位で発売されているようですが、ベッド毎に席番が振られているのですね。

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個室内には二段ベッド。

上段に上がる梯子もスタイリッシュです。

角度的に見えませんが、梯子の脇に窓があり、そこに小テーブルと補助椅子?があります。

また手前の木目調の壁の内側(ベッド側)にはコンセントや時計が入ったパネルが取り付けられています。スマホの充電もできますよ。

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こちら上段ベッド。

配管かなにかで天井の凹凸はあるものの十分な高さが確保されています。

さすがに立ち上がることは不可能ですが、身体を起こすぐらいは余裕でできます。

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対して下段。こちらも同程度の高さ。ベッドに座ることも余裕です。

枕のフクロウが可愛い。

小さなテーブルは窓側にありますが上下ベッド脇にはネット式の小物入れもあるので、就寝時のメガネやスマホはこちらに入れておくと良いでしょう(忘れ物注意!)。

あと、スーツケースは下段ベッド下にちょうど空間があるのでこちらに入れられます。

スーツケースもひとつずつなら個室内で開くことも可能。

旅行代理店の案内には「荷物が広げられないので一泊分の荷物を別にしておいたほうが良いぞ」とあり、そのほうが良いには良いのですが、二人同時にとか荷物全部ひっくり返してとかは無理にしても多少の荷物整理ぐらいはできるので「誤って使いたいものをスーツケースに仕舞いこんでしまった」となっても大丈夫。

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寝台にはタオルとミネラルウォーターが置いてあります。

列車内の蛇口から出る水は当然飲めないしカフェカーを除けば車内に自販機もないので、ミネラルウォーターは地味にありがたいですね。

タオルも自前で持っていたとしても、濡れたものを乾かしたり、半乾きのものを仕舞わなくてはいけなかったりするので助かります。f:id:shizuku-travel:20200627222712j:image

どちらもオリジナルデザインでいいですね。

 

さて、本来であればツアーの設定では1階席(個室)が指定されています。

つまり、わざわざオプションで2階席にしたわけですが、そうした理由はこちら。

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個室内トイレつき。

洗面台周りに小物入れもついていて、なんというかワンルームマンションっぽさあります。

わざわざ個室内トイレ?乗って寝るだけ。ましてや列車で今更共用トイレに何言うか。という感じですが、このトイレには秘密がありまして。

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その洗面台の脇についているレバーを下ろしながら手前に引くと…。

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なんとシャワーが出てきます!

つまりはシャワー・トイレ付き個室というわけです。

日本の寝台車で同等設備のある個室ってカシオペアツインとかロイヤルとかじゃん。A寝台じゃん。

ましてや同等設備のある定期列車が無い今、その雰囲気だけでもフィンランドで楽しめる。

で、これ。オプション差額がなんと一人3,000円。

その程度の差額で上級クラスの寝台が楽しめるのであれば、鉄道オタクとしてはアップグレードしないわけにはいきません。

 

さて、気がつけば列車は動き始めていました。

11時間弱の夜行列車旅の始まりです。

 

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荷物整理も終わり、落ち着いたところで夕飯確保を兼ねて列車内を探検です。

(この先、揺れる列車内での撮影のためブレている画像があります)

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1階も個室が並んでいますが、先述のとおり個室内にシャワー・トイレの設備は無く、二段ベッドのみがあります。

とは言えシャワーも共用ですが設備はあるのでその点は安心です。

多分サンライズのように「シャワー使おうとしたらシャワー券が売り切れていて使えない」ということも無いはずです…。

ちなみにある旅行ブログでは1階で十分、という意見もありました。

理由は

・荷物を持って階段を上り下りする手間がない

・個室設備で言えばシャワー・トイレの有無だけで考えると値段が高い

・1階の方が揺れない

・2階だからといって眺めが良いわけではない(夜だし)

ということです。

このあたりは各々の価値観等も絡んでくるので一概にどちらがいい、とは言えませんのでまぁひとつの意見として。

 

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デッキに路線図が貼り出されていました。

こうやって見ると全土に路線網が広がっているように見えますが…。

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隣の車両に移ると銘板が。

1985年製造、2010年6月更新といったところでしょうか。

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こちらは普通の座席車でしたが、昼間に乗ったものよりかは若干ゆったりしている気がします。

また、座席配置も集団見合い式ではなく、右と左で向きを変える変則的な座席配置。

そういえば客室に入る扉も真ん中ではなく右に寄っています。

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その隣にはコンパートメントの座席車。

コンパートメントも日本ではあまり見られませんね。

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1列3人掛けと考えれば普通席より多少は広いのかもしれませんが、普通のボックスシートより気密性が高いので見ず知らずの人とこの空間にいるのはちょっと辛いものがあります。

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さらに先には2+1配置の車両。

1列側は集団見合い式、2列側はボックス配置というこれまた変わった座席配置です。

上級クラス席なのかもしれませんが、座席自体はさっきの車両と変わらないような。

シートピッチと隣席との間隔の違い程度でしょうか。

 

辿り着いたカフェカーは無事営業中。利用者もパラパラと見受けられます。

夕飯を求めて来たものの、やっぱりお腹はそこまで空いていないので、とりあえずカウンターに並んでいたパンを取って購入。

部屋へ戻って食べます。

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買ってきたパンとキオスキで買ったビール。

見た目でなんとなく分かるかと思いますが、結構硬いパンでした。

 

食事を終えて、交互にシャワーを浴びます。

列車の揺れは思ったほど大したことないのですが、シャワーの水圧は弱いので洗うのにちょっと苦労しました。

あと例の全身ボディソープは付いていました。

 

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暗闇の中を走り抜けます。

昼行列車と同様に、速度は結構出ているようでしたが2階でも揺れは少なかったです。
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どこかの駅に着きました。

夜行列車故にこの時間の降車を想定していないのか放送はなし。

あるいは寝台車だけ放送切ってる?

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窓側から通路側。

窓側の補助椅子に座って撮影しています。

広さや天井高はこの方が分かりやすいですかね。

荷物フックが多いのが地味にありがたかったです。

 

さて、妻はお疲れモードのため入浴後すぐベッドイン。

一方、僕はまだ21時ということで疲れてはいたけど寝るのが勿体なく感じていたので、せっかくだからと再びカフェカーへ向かうことにします。
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個室にはちゃんと鍵が付いていますが、シリンダーキーでもなくテンキー式でもなくカード式。

でも磁気式や非接触式でもなく穿孔式?とでも言うのでしょうか。

ドアに「ちゃんと鍵持った?」と書いてありますね。忘れずに持ちましょう。

 

さて、再びのカフェカー。

わざわざ来たのにはもちろん理由があります。
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こちらです。

泡は消えてしまいましたが生ビールです。

夕飯を買いに来たときに売られているのをしっかり確認いたしました。

前日飲んだモノの生ビールバージョンです。

カウンターに座って流れる車窓を眺めながら…と思ったのですが、先程駅に着いてから10分以上動かず。

列車交換かな?とも思ったのですが、対向列車が来ても出発する雰囲気はないし、ホーム上を職員らしき人が走っている姿も見え、何かしらのトラブルが発生した模様。

放送がありましたがフィン語のため理解できず(英語だったら理解したとは言ってない)。

運休とかだと困るなぁ…などと考えているうちに動き出し一安心。

しかし供食車両でお酒飲むのって自分の席で飲むのとはまた違った気分が味わえていいですね。

特にこの車両は窓に向かってカウンター席があるのがいい。

暫くそのまま居たかったのですが、流石に妻を部屋に一人置いて飲み続ける訳にもいかないので一杯だけに留めて撤収します。

とはいえ非日常を楽しむには十分でした。

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(画像はロヴァニエミからケミへの移動時に撮影したもの) 

因みにカフェカーの食事メニューは、僕らの購入したパン類以外だとミートボールやスープといったものがありました。

一応、カフェカーに簡単な調理スペースはあったので暖かい食事は提供してもらえそうですが、日本の食堂車のように完全調理というわけではなさそうだし、求める質と量が出るかは不明。

一般の旅行者(?)であれば列車内での食事という非日常を体験したい、あるいは僕らのように昼食食べ過ぎたとかミスを犯していないようであれば、乗車前にケミの街で少し早めの夕食を済ませ、列車内では軽く飲む程度にするのが良いかもしれません。

なお、このサンタクロースエクスプレス、2往復体制で僕らの乗ったのは早い時間の便。

遅い便に当たった場合やケミからではなくロヴァニエミから乗る場合はまた行動パターンが変わってくるので食事の話は参考まで。

 

部屋に戻ると妻は就寝済み。

僕も暫くは車窓を眺めて過ごしていましたが、眠気が来たことと、明日は明日で早いので日付が変わる前にはベッドへ。
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フクロウ柄の枕でお休みなさい…。

さぁ目覚めればそこはヘルシンキ