島根よいとこ一度はおいで~冷静に考えて山の中によく街を作った~
石見銀山が凄いのは、環境保護なんて言葉がなかったころから環境に配慮した鉱山開発を行っていたというところが良く語られますが。
実際行ってみて感じるのは「この山の中に街があったのか…?」ということ。
国道から山へ入っていく道なんて典型的な田舎道で、とてもこの先にかつて世界有数の鉱山街がしかも明治維新前に存在していたなんて思えないのですよ。
間歩に至る道の途中もよく見てみると建物があったと思われる光景が見られます。
それが鉱山関係施設だったのか生活場所だったのかはぱっと見では区別がつきませんが。
こうした立派な神社もあります。
かつてはこの周りもにぎやかだったのでしょうか。
鳥居は木製でした。
緑が多い中にある神社。
人の気配は感じられませんでしたが、よく手入れされていて雰囲気はよかったです。
石見銀山の本格的な始まりは16世紀にさかのぼりますが、実は明治維新以降も採掘が行われており、近代的な精錬所も造られました。
それが清水谷精錬所です。
ちょうど真夏なので草に覆われて何が何だかですが。
明治28年、西暦でいうと1895年に今の同和鉱業によって造られました。
残念ながら僅か1年半程度の稼働だったそうですが、近代においても石見銀山の重要性があったことを示すものといえます。
こうやって見ると陳腐なたとえですが、ラピュタに出てきそうな雰囲気。
さっきから人気のないところばかり見ている気がしますが、実際には山を下っていくと今でも普通に人が住む街が形成されていますし、ちゃんと当時の繁栄を偲ぶ建物が残されています。
現存する見学できた当時の住宅のうちのひとつ、渡辺家住宅。
その立派な門構えからしても「凄い家」というのが伝わってきます。
中もご覧の通りの広さ。
大体、こういう家(というか割と近年までも)には大勢を迎え入れらるような間取りになっているものですが、こちらもご多分に漏れず。
ちなみに旅行時にもらった銀山地域のマップを見返すと、特に名所として積極的にアピールされていた場所でもなく。
確か自転車を漕いでいたらボランティアの方に「休憩がてら見学していきませんか?」と声をかけられて「それなら…」と入ったのを思い出しました。
で、この渡辺家住宅。
Googleマップを見てもポイントとして出てこなくて「?」と思ってよくよく調べてみたら、
なんと保育園と児童クラブになってました。
国指定史跡を保育園…凄いところです。
まぁ、ただただ史跡として建っているだけより、子供たちの生活の一部になる方が建物にもいいことなのかもしれませんね。
この後に向かったのは石見銀山の定番スポットのひとつ、五百羅漢。
石室山羅漢寺、というのがお寺の名前です。
こちらが本堂。五百羅漢は川を挟んだ向かい側にあります。
五百羅漢とは銀山で亡くなった方の霊を供養するために作られたもので、すべてを作るのに20年は掛かったそうです。
中に安置されている羅漢像はいろいろな表情をしていて、おもしろいものや変わったものを探すのもまた楽しかったりします。
残念ながら境内は撮影禁止なので羅漢像の画像はありません。
是非、現地で自分の目で確かめていただきたい場所の一つです。
橋を渡って再び大森の街へと戻ります。
間歩の方から海に向かって緩やかに下り坂になっています。
こうした街並みがずーっと続いていて、しかも普通に人が住んでいます。
こういう歴史的街並みのエリアで暮らすのはいろいろ大変で、なんでもエアコンの室外機一つ置くのにもカバーをかけたり気を使わないといけないのだとか。
「外見は昔ながらだけど中身は現代的」という家も多いらしいです(石見銀山がそうというわけではない)。
昔ながらの街並みの中にも新しいお店はあります。
こちらはパン屋さん。トワイライトエクスプレス瑞風にもパンを卸していたそうです。
お昼をまだ食べていなかったので、(どこで食べるか何も考えずに)パンを購入。
こちらは大森裁判所跡。いまは町並み交流センターとして活用されています。
ここまで純和風の建物ばかりだったので、白壁はなんだか新鮮です。
当時の司法関係がよくわからないのですが、この山の中に裁判所があったっていうのはこの町の立ち位置というのが相当だったということではないでしょうか…。
こちらは床屋さんの跡。
石碑には「理容遺産認定第1号」とありますね。
ちなみに2号は博物館明治村に保存されている理容室の建物で、こちらも行ったことがあります。
あ、御髪神社にも行ったことあるからこれで3か所制覇してるな、理容遺産…。
こちらは銀山の町で一番有名なおうち(?)、熊谷家住宅です。
国指定重要文化財になっていて、その大きさが当時の繁栄ぶりをうかがわせています。
中も見学可。
中の写真がなかったからこの時は入らなかったんだっけか…?
続いてこちらは石見銀山資料館。
ビジターセンターと内容が被っている気もしますが、ビジターセンターが銀山そのものの話がメインとするならば、こちらは街の成り立ちや歴史といった話が多かった記憶。
運営的にもビジターセンターが大田市なのに対して、こちらはNPO法人による運営なんだそうです。
ちなみに入口に出ている「本日最終日」は企画展のこと。
今調べたら「世界遺産登録10周年企画展」だったらしい。
いま考えたら初めて石見銀山行ったの2007年11月だから世界遺産登録直後に来て、しかもその10年後に再訪してたのか…。
大森の街並みはこのあたりで終わり。
のんびり歩いてお店をのぞいたり、展示施設を眺めたりすると結構いい時間が掛かります。
決して華やかさは無く、むしろ淡々と歴史的街が続いていくところですが、是非一度は訪れてその雰囲気を感じていただきたいものです。
あと、基本的に街並みが一直線だから変に歩き回る必要がないのがありがたいです。
街並みの終わったあたりに食堂があったのでここで昼食。
前日も食べた気がしますが出雲そばを食べました。
あ、さっき買ったパン。
そばを食べた直後でしたが、お店の前に広場があって都合が良かったのでそこで食してみました。
買ったのはオリーブパン。
生地の風味が美味しいには美味しかったのですが、よくわからないで買ったのでまさかオリーブが丸ごと入っているとは思わずちょっとびっくり。
世界遺産の街並みを楽しみ、おなかも膨れたところで自転車を返してバスに乗り世界遺産センターへ戻ります。
次の目的地は割とすぐ近くです。