○ツアーのいいところはめんどくさいところにも連れて行ってくれること
ぜんざいを食べてクールダウンした後、神門通り交通広場というところへ。
バスロータリーと駐車場があって、行ったときは旧ツアーバスのバス停なんかもありました。
ここからはツアーに参加します。
出雲日御碕夕日鑑賞バスというもので、案内人が同乗して現地を案内するタイプのバスツアーです。
旅程を作成している中で、確か一畑のサイトで発見しました。
ちょうどこの年の4月に文化庁の日本遺産にこの界隈が認定されたのを契機に、もっと日御碕を知ってもらおうというのがツアーの狙いです。
日御碕は神社や灯台で有名で、何度か行ってみたいとは思っていたものの、バスは本数が少ない、クルマで行くにも道があんまり良くないということでなかなか手が出なかったのですが。
このツアーだと、ピンポイントで連れて行ってもらいたい日御碕だけ行ける上に、じっくり大社観光した後に乗れるのが非常に有難かったです。
まぁ、このツアーが実施されたのは日本遺産が大きいのですが、実はもっと切実な理由があったのです…。
1620、バスに乗ります。一畑系の貸切バスです。
いやぁ他社の貸切なんてたまにしか乗れないからちょっと楽しいですねw
このバスの始発は出雲市駅で、その次がこの神門広場。
その後に大社の旅館エリアに立ち寄って日御碕へ向かいます。
ちなみにここから乗ったのは僕らだけ。
旅館前で数人乗って、殆どが出雲市からの乗車でした。
中型バスでしたがほぼ満席。それなりに需要はあるようです。
旅館前から最初の目的地である神社までは30分ほど。
その間に案内人の方が色々解説してくれます。
この日は案内人のおじさんと、観光協会?のお兄さんと乗っていました。
お兄さんはおじさんのフォロー役みたいな感じだったのですが、もうひとつ役目があって…。
バスは海沿いを走ります。
多分稲佐の浜を撮りたかったんだと思います()
国譲り神話の舞台になったところであり、神有月に神様がやってくる海岸です。
雲は多めですが、太陽は少しずつ夕日になっています。
…で、大社からバスで30分の距離はともかく、こんな感じで海岸沿いを崖伝いに通っている道を走るので、普段運転しない人間が自分で運転しながら行くのも億劫。
そういう意味でもバスは有難かったです。
アップダウンとカーブが続きます。
人が運転するクルマから車窓を眺める分には良いところです。
ライダーなんかは楽しいかもしれないですね。
坂を上って一旦海から離れると、眼下に色鮮やかな建物が見えてきました。
これが日御碕神社です。
日御碕神社は、スサノオノミコトを祀る神の宮と天照大神を祀る日沈宮の二つの宮の総称。
天照大神が祀られている「日沈宮」。
創建は948年。
「日が沈む」神社というのも変な感じがしますが、これは伊勢神宮が「日ノ本の昼を守れ」との勅命に対して日御碕神社が「日ノ本の夜を守れ」と勅命を受けたことによるものです。
スサノオノミコトが祀られている「神の宮」。
創建は紀元前536年。設定がおかしい。
歴史をちゃんと学んでない人間にはどんな時代かも分かりませんw
スサノオノミコトが「吾が神魂はこの柏葉の止まる所に住まん」と根の国(黄泉の国)から柏の葉を投げて占ったところ、背後の隠しヶ丘に止まったそうで、それで神社をここに建てたそう(適当解説)。
現在の社殿は1637年から1644年の7年間をかけて建てられたもの。
徳川三代将軍家光の命によるものだそうです。
日光東照宮建立の翌年から工事が行われているわけですが、言われてみると雰囲気もよく似ています。
両本殿の内部には狩野派や土佐派の絵師による絵が描かれているそうです。
中は見られませんでしたが、先の写真にもあるように、外壁にも美しい彫刻が施されています。
で、こんな「どこかで見たような」彫刻も。
参拝を終えて神社を後にします。
参道を抜けて鳥居をくぐった先には海。
ここから海沿いに少々歩いて次の場所へ。
途中、海にせり出した岩山の上に祠があるのが見えます。
これは経島(ふみしま)という島で、元々天照大神が鎮座されていたところ。
日御碕神社の神域として一般の立ち入りは禁止されており、例祭のときに宮司だけが渡ることができるそうです。
(特定の日付に特定の人だけ入れるところって、メンテナンスとかどうするんだろう…)
あっ!ブラタモリでやったやつだ!
そうです。柱状節理です。
柱状節理自体は全国的に見られる現象ですが、ここまでガッツリ現れると圧巻。
日御碕には灯台があります。
近所に観音崎があった身としてはなんとも思っていなかったのですが、実は登れる灯台というのはそんなに数がないそうで、この日御碕灯台も数少ない登れる灯台のひとつ。
通常は夕刻には閉めてしまうそうですが、この日はこのツアーのために特別にちょっと延長して開館。
灯台はなにも展望台ではなく、海の信号。
扱いは海上保安庁のいち施設です。
中に入って驚かされるのはこれ。
中のレンガ積みを見ることができます。ちなみに外観は切石積みです。
着工が明治後半なので、レンガ積みはむしろ一般的なのですが、これが100年以上前に造られて風雪に耐え今に生きるのだから構造物って凄いよなぁ…。
行った時にはすでに近代化産業遺産に登録されていましたが、さらに2021年には国指定重要文化財に登録。
歴史の深さと重要性を感じられるスポットでもあります。
この灯台、世界の灯台100選にも選ばれたそうですがもう一つナンバーワンがあって、それが高さ。
てっぺんに出るためには、灯台特有の狭いらせん階段を延々と登らないといけないわけで…。
ようやくたどり着いたてっぺんには巨大なレンズ。
ここで発せられた光は39km先まで届くそうです。
さっき乗った一畑の松江~大社が(営業キロで)37.3kmなのでそれより届くのです。
外が見えました。さぁ表へ。
夕日が凄い!
日本遺産に認定されたのはひとつこれも理由で、日本遺産の名称も「日が沈む聖地出雲」となっています。
島根はやや西を向いて海に面しているため、海沿いならわりと美しい夕日を見ることができるのですが、ここは出雲という聖地に位置していることから特に取り上げられた、というわけです。
いや、神社と灯台とこの夕日。3点セットで眺められるのであれば頑張って大社から足を延ばす意味があるってものです。
東のほうを眺めるとたくさんの風力発電の風車が見えます。
北海道のオロロンライン沿いや宗谷丘陵なんかも風車が並んでいましたが、ここ島根も風力発電が盛んな地域だったりします。
風力発電は強い風よりコンスタントにそれなりの風がある方が良いんでしたっけね。
北向きに開いた海沿いなので、それなりに発電はしやすいのでしょう。
灯台は眺めは良いのですが、展望設備ではなくいかんせん狭いので一周回ったところで下へ降ります。
バスの出発時間もぼちぼち近づいてきたし。
下で完全日没を待ちます。もう少しって感じかな。
ただ、見てわかる通りこの日はやや雲が多め。
考えてみれば朝は雨だったし、むしろ活動中に降られることもなく、夕日を見に来たタイミングでここまで晴れてくれて幸運だったといえるでしょう。
遠くに船が進んでいます。
東京湾だとこれでもか、ってぐらいに船の行き来を眺めることができますが、ここは日本海。
船自体はたくさんいるのでしょうが、わざわざ陸に近いところを通る理由もないですね。
そして日没。
残念ながらご覧のとおり雲に阻まれて沈むその瞬間を見ることは叶いませんでしたが、夕刻の美しい景色を見せてもらったのでまぁ満足。
見ると灯台にも灯がともりました。
これから明日、再び日が昇るまで明かりで海の安全を守ります。
名残惜しいですがここでタイムアップ。
スタッフの方に誘導されて駐車場へ。
途中、土産物屋が並ぶエリアを通りますが、普段なら灯台も閉まっている時間なのでほぼお店もやっていない。
雰囲気は完全に昭和の海沿いの土産物屋でしたが、どんなものが売っていたのかちょっと気になりました。
今回乗ったバス。中型ですがちゃんと観光バス。
暗くなり始めた道をさっきと逆に辿って出雲大社へ戻ります。
途中旅館前で降りる人がいて、やっぱり大社駅で降りたのは僕らだけ。
ほぼ満席のままバスは出雲市駅へと向かっていきました。
ちなみに今夜の宿は出雲市駅前なので、このまま乗って行ってもよかったのですが、荷物を預けたままだったのと、川跡~電鉄出雲市が未乗のままになってしまうという鉄オタ的理由から降りたというわけ。
そんなわけで本日最後の移動のために駅へ向かいましょう。
そうそう、今回のバスツアーが作られた理由。
ちょっと長くなったので次回。