こうもどこにも出掛けられないと、温泉欲とか旅館欲とかが高まり過ぎて良くないですね。
今はGOTOトラベルがあるので、観光地のためにも出掛けられる人は対策を十分に行った上でどんどん出掛けてください。
うちは残念ながら自粛継続中ですので…。
で、ここまで何処にも行けないと「なんでもいいから何処か行かせて!」となります。
安い宿でいいからその雰囲気だけでも…なんて考えたりしますが、そもそも「安い宿」ってなんだ?と。
一般に安い宿(ここでは一泊二食付きが標準の観光旅館)といえば二つに分かれるものと考えられます。
一つは閉館した大型旅館を買い取ってコストを抑えて安く提供するチェーン店系。
もう一つは公共団体や健保組合が運営する保養施設系。
実はチェーン店系は使ったことがなくてネタもないので、保養施設系について考えてみます。
保養施設も幾つかに分かれますね。
かんぽの宿のように誰でも使える系。
共済組合の運営する宿のように誰でも使えるが組合員なら格安で泊まれる系。
企業健保の保養所のように組合員でないと泊まれないが格安の施設系。
具体的に施設の中身を考えます。
立地は有名温泉街が多いですが、温泉でなくても海や山のリゾート地にも結構あったりしますし、逆に観光地でない自治体が滞在者を呼ぶためにあえてそこに構えるケースもあります。
客室はいずれも8畳程度の和室にトイレが付いた昭和から平成にかけての一般的な旅館程度の設備を有している場合が多いです。
お風呂は大浴場だけの場合もありますが、施設によっては露天風呂やサウナ、時折貸切風呂があるところも。
食事は部屋出しと食堂が半々てところでしょうか。僕が泊まったところは部屋出しが多かった気がします。
料理の内容も一般的で「大当たりはないけど失敗もしない」という感じですが、場所によっては郷土料理が出たり追加料理があったり。
で、肝心の値段ですが、保養所寄りだと大体3〜5,000円で、いくらネットでいい宿が安く出る時代とはいえ設備レベルを考えると多分最安値。
一般開放寄りだと普通の旅館より若干安い程度か同等ぐらいのことも。たまに宿を探してて「安くて綺麗だからここにしよう」と選択してから公共の宿だったことに気付く、なんてこともあります。
このあたりはその施設が「公共性はあるがある程度採算が求められる」のか「利用者の保養が最大の目的で利益はそこまで考慮されない」のかによって大きく異なるため、保養所が安くなるのは当然といえば当然です。そのために利用対象者を限定しているのですから。
また、保養所系はそういった理由から宿泊料金だけでなく飲食の代金も安い、という点。
酒も原価、とまではいかないまでも一般的な旅館に比べて何割か安くなっています。
たまの旅行ならば、部屋が広かったり温泉が良かったり、あるいは食事に特徴のある宿を選んで泊まるようにしていますが、そうではなく「宿はメインイベントではないけど折角地方に泊まりがけで行くのだから」あるいは「あんまりお金を使いたくないけど旅行欲が高まり過ぎたから雰囲気だけでも味わいたい」という時に気軽に使うモノかなと思ったりします。
子供の頃、父親の職場の県内にある保養施設をたまに使っていましたが、あれも長期休暇や連休でもなく普通の週末(しかも当時は半ドン)に行っていた記憶があります。
いくら安いとはいえ家族で行けばそれなりにお金を取られますが、それでも安く旅館の雰囲気を楽しめるし今ほど選択肢の無かった四半世紀前では必要な施設でした。
それから会社の人同士でどこでもいいから泊まりがけ、って時に保養所行きましたね。
酒代が安いのがありがたかったです。
あとは廃線廃墟めぐりをした時。たまたま通り道が温泉地だったからそこにあった公共の宿に。
行くつもりが無かった温泉にそこまで懐を痛めずに入れました。
近年はいい宿もやり方次第で安く泊まれるし、チェーン店系も増えています。企業(組合)は企業でそういった理由から利用率が低下しているし、しかも運営費用は会社または健保組合(つまりみんなのお金)から出ているのに使った本人にしか福利厚生とならず不公平感がある点や保養施設の維持費用が重荷になって、保養施設を廃止する動きが進んでいます。
一方で利用可能範囲を拡大したり、施設をリニューアルしたりと工夫して生き残りを図るところも増えています。場所によっては一流旅館並みに綺麗なところも(調べたところ値段もそれなりに高いようですが)。
旅好きにとっては「気軽に旅をする機会」を与えてくれる存在であるこの種の宿。
どんどん軽率に旅に出てどんどん軽率に使っていきたいところです。
最後に保養所、公共の宿の使うポイント。
一つ目は「利用者が限定される保養所も利用範囲が広がっている」という点。
以前は本人とn親等まで、というルールを敷いているところも多く、「友人を親戚扱いして内緒で泊まった」なんて話もありましたが、最近は公式に本人か家族がグループに一人いればOKという宿も出てきました。
本人やその家族に比べて値段は上がりますが、それでも格安なのは変わりないので、旅先に誰かの勤め先の保養所があったらその誰かを連れて行くと宿代が抑えられるかもしれませんね(嫌な人間関係だな)。
二つ目は「意外とある自治体の施設」。
例えば横須賀市は群馬県の旧倉渕村と姉妹都市になった繋がりから、その倉渕村に「はまゆう山荘」という保養施設を設けていました。
今は横須賀市は運営から離れ、倉渕村も高崎市に合併されましたが、施設自体は現在も稼動中。
その経緯から、横須賀市に在住・在勤・在学している場合は宿泊料金が1,050円安くなるそうです。
このように「自治体が繋がりのある場所に直接施設を造るorその場所の公共施設が安くなる」ことがあります。
あとは純粋に自治体が保養施設として温泉地や観光地に施設を持っていたり。
利用範囲もはまゆう山荘のように「在住」だけでなく「在勤・在学」まで対応してる場合もあるので行き先に気になる公共の宿があったら調べてみるといいでしょう。
三つ目は「同じ運営でも差がある」ということ。
場所によってはネットの人気の宿ランキングに出てくるぐらい良いところがあるようです。
例えばかんぽの宿。
以前に比べれば減りましたが、全国各地に展開していて、場所によっては上記のようにランキング上位に入るようなところもあります。
前に泊まったかんぽの宿草津は広くて綺麗でしたが、立地が草津の中心から外れていたので「草津観光」が目的だと使い辛さはありました(今は伊東園グループに売却)。この時は草津が目的地ではなかったので特に困らなかったですが。
一般でも泊まれる公共の宿や保養施設も沢山あるので値段と設備、そして料金を比べながら泊まってお気に入りを探すのも楽しいかもしれませんね。
このときは初日に太子駅を、二日目に小串鉱山跡を見に行きました。